研究概要 |
本年度においては、まず、歯周炎の組織におけるIL-27の発現やその受容体WSX-1遺伝子欠損(KO)及び野生型(WT)マウスの歯周炎の炎症時の脾臓細胞におけるサイトカイン産生を調べ比較することにより、IL-27の歯周炎における役割について検討した。P.gingivalis感染したマウスの歯周組織におけるTNFαやIL-6及びIL-27のサブユニットp28及びEBI3のmRNA発現を解析した結果、TNFα,IL-6,p28及びEBI3の発現レベルがいずれも感染していないマウスの歯周組織と比較し亢進していた。歯周炎を起こしたWSX-1KOマウスとWTマウスから脾臓組織を単離しTNFα,IFNγ,IL-6及びIL-17aのmRNAの発現レベルをRT-PCR法により、またIFNγ及びIL-17aの産生量をELISAで定量した。その結果、WTマウスと比較し、WSX-1KOマウスにおいてIFNγ,IL-6及びIL-17aのmRNAの発現の亢進とIFNγ及びIL-17a産生量の増加が見られた。またWSX-1KOマウスの脾臓細胞ではCD4陽性T細胞の培養上清にIL-17aの産生が検出された。これらのことからWSX-1KOマウスにおける歯周炎ではTh17細胞の形成が亢進している可能性が考えられた。一方、マクロファージのP.gingivalisl感染による破骨細胞分化への直接的な作用についても検討した。骨髄マクロファージにP.gingivalisを感染させると、p28,EBI3及びその受容体WSX-1,gp130のmRNA発現が上昇した。さらに、マクロファージにRANKLを添加した後にP.gingivalisを感染させると破骨細胞の分化が顕著に促進することがわかった。現在、IL-27がP.gingivalis感染によるマクロファージからの破骨細胞への分化制御にも関わる可能性について、WSX-1KO及びWTマウスの骨髄マクロファージにP.gingivalis感染させ検討を行っている。
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