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2011 年度 実績報告書

酵母から発見した新規NADの神経細胞分化誘導・保護作用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 21592379
研究機関福岡歯科大学

研究代表者

上西 秀則  福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (90084300)

研究分担者 今吉 理恵子  福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80320331)
長 環  福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (90131870)
キーワード酵母 / Candida / NAD / 神経細胞 / 分化誘導
研究概要

Candidaの生育形態を酵母形から菌糸形に変化させる能力を有する物質をCandidaの菌体から発見した。その組成分析と構造解析の結果に基づいて物質を化学合成し、NADの類似体であるL-RibNADを化学合成した。得られた合成標品の神経細胞に対する作用について、in vitroでの試験を行った。試験結果は以下のとおりである。
(L-RibNAD:NADのニコチン酸に結合するリボースがL-リボースになっている。分子量:663)
1)ラット胎児脳神経細胞(初代培養細胞)に対する効果。
(1)合成標品の添加量(0.01~1μg/ml)に比例して神経突起が対照と比較して約1.5倍の長さに伸長することが観察された。また、神経突起の分岐数も増加することが分かった。さらに、伸長した神経突起の表面には多数のバィコシティーが形成され、シナップス形成の体制が整っていることも伺われた。
(2)ラット胎児脳神経幹細胞を分化誘導培地で培養し、これに合成標品を添加して培養した結果、合成標品は神経幹細胞をニューロンあるいはグリア細胞へと特定の細胞に分化させることはなく、神経突起の伸長をもたらすことが分かった。
2)ヒト由来神経芽腫細胞(NB-1)に対する効果。
(1)NB-1を飢餓環境で培養し、細胞の形態、特に神経突起の伸長とサバイバルについて合成標品の効果を調べた。この結果、合成標品を0.5~1μg/ml添加すると、神経突起は顕著に伸長し、神経突起によるネットワークが形成されることが観察された。また、合成標品添加例では細胞の生存日数が約、1.7倍延長され、サバイバル効果も確認された。
3)DNAマイクロアレーによる遺伝子発現解析。
ラット胎児脳神経細胞およびNB-1に合成標品を添加して培養し、培養2~4日にRNAを抽出し、マイクロアレー解析を行った。この結果、いずれの細胞においてもNervous System Development and Functionに関与する一連の遺伝子群が顕著に発現することを認めた。
4)この研究で神経細胞の突起を伸長させ、飢餓環境においてはサバイバル効果を発揮する物質を合成することができた。この成果は神経疾患治療薬の創製に新たな進展をもたらすものであり、今後、高齢者社会を襲う脳神経疾患の対応に重要なメッセージになると考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 7.口腔内真菌と全身疾患2011

    • 著者名/発表者名
      長環、上西秀則
    • 雑誌名

      化学療法の領域

      巻: 27 ページ: 80-85

  • [図書] Microbiology微生物学2012

    • 著者名/発表者名
      上西秀則、井上雅博、山中武志
    • 総ページ数
      181
    • 出版者
      クインテッセンス出版株式会社

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公開日: 2013-06-26  

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