研究課題/領域番号 |
21592380
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
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研究分担者 |
鍛治屋 浩 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (80177378)
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
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キーワード | 破骨細胞 / TRPチャネル / CLC7 / アポトーシス |
研究概要 |
今年度は、破骨細胞を種々のアポトーシス誘導因子で刺激し、発現上昇するTRPチャネルの分子種の同定およびアポトーシス誘導刺激で活性化されるイオン輸送動態について調べた。マウスの成熟骨髄細胞をH_2O_2、TGF-β、ビスフォスフォネートで刺激し、まず、アポトーシスが誘導されるかどうか調べた。その結果、高濃度のH_2O_2およびビスフォスフォネートはアポトーシスを誘導した。一方、TGF-βや破骨細胞を延命させるというRANKL刺激および細胞外液の酸性化(酸刺激)ではアポトーシスは誘導できなかった。また、H_2O_2およびビスフォスフォネート刺激によって発現が顕著に上昇するTRPは検出できなかった。しかし、アポトーシス刺激の有無に係わらずTRPM7の恒常的発現を確認した。さらに、H_2O_2、ビスフォスフォネートおよび酸刺激によって活性化されるイオン電流をWhole-cell patch clamp法により誘導し、電流の性質を解析した。その結果、H_2O_2とビスフォスフォネートは陽イオン電流を活性化したが、酸刺激では陽イオン電流のみならず陰イオン電流の顕著な活性化が認められた。その電流の性質から陽イオン電流はTRPチャネルの中でもM7の活性化を示している可能性が示唆された。また、酸刺激によって活性化される陰イオン電流はClC7Cl^-輸送体の活性化を反映していることが明らかになった。以上の結果より、アポトーシス刺激は破骨細胞に恒常的に発現しているTRPM7を活性化する可能性が考えられた。また、酸刺激によってClC7が活性化されることは、自ら酸(HCl)を分泌して酸性環境を形成する破骨細胞にとって好都合であると考えられた。
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