研究概要 |
31P-CSIを頭頸部領域に用いるための設定を行い、特殊な形態・組織構造を持つ頭頸部領域に併せたCSIの設定を確立することである。ボランティアを対象にして撮像パラメータの決定を行い、対象核種をリンとし、3テスラのリンの中心周波数約50.4Mhzとした。TR/TE:4500/0.1msec,加算回数32回、撮像時間2分28秒で信号を得るところまではできたが、安定したデータを得るためには対象信号抽出領域の体積によっては加算回数を40回程度に増やす必要が生じた。さらに、以前からの問題であった頭蓋底や副鼻腔、上下顎骨近傍、咽頭腔近傍では磁場の安定性が得られないことが多く、関心領域の磁場不均一が原因と思われ、同部領域では良好なCSIは得られなかった。対象信号抽出領域の磁場の安定性については耳下腺や顎下部、側頭下窩など軟組織の体積が多く存在する領域では比較的良好な磁場の安定(半値幅0.5-1.0ppm)を手動操作で得ることができた。以上、頭蓋底直下では軟組織が少なく、磁化率変化に伴うアーチファクトで関心領域に良好な磁場の均一性を得ることは困難であり、頭蓋底でのCSIは困難と思われ、この方法は頭蓋底以外の頭頸部領域の病変の診断が対象となると結論づけた。さらに、病変からの信号抽出領域の体積が大きければ大きいほど良好な信号えられ、従来はXYZ軸に直交する立方体または直方体でしか関心領域を設定できなかったが、今回傾斜磁場を変化させ、必ずしもXYZ軸に平行ではない領域を設定することができ、対象病変内においてより広い範囲で関心領域を設定し易くなり、周囲組織からの信号の混入が少なくなった。目標としている4立方センチメートル以下からの信号取得は現時点では困難であったが、変形領域の設定で、加算回数を増やし、検査時間3分程度にすれば、5立方センチメートル程度の体積からのCSIは可能と考える。
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