研究概要 |
補助シグナル分子は細胞間相互作用において正あるいは負に応答を制御している.我々は,新規補助シグナル分子B7-H3のin vitroおよびin vivoにおける機能を解析し,B7-H3の受容体がTriggering receptor expressed on myeloid cells(Trem)-like transcript 2(TLT-2,Trem12)であることを明らかにした.B7-H3の機能は免疫応答亢進と抑制の相反する報告がなされ,これは,複数の受容体により担われていることが示唆される.そこで,本研究において「免疫補助シグナル分子B7-H3はその異なる受容体の使い分けにより免疫応答を制御している」という仮説を立て,この仮説を評価することを目的とした.マウスにおける機能は明らかにしてきたが,ヒトにおける機能については不明であったため,ヒトTLT-2に対する抗体を樹立し,ヒト末梢血細胞における発現を観察した。その結果,マウスと同様にB細胞,単球で発現が高かったが,T細胞においては,マウスと異なり,CD4^+T細胞CD8^+T細胞の両方において一部の細胞に発現が認められた.また,TLT-2の機能をin vivoにおいて詳細に評価するために,TLT-2遺伝子の一部をloxP配列で挟み込んだ条件的欠損マウスの作製を試み,TLT-2を条件的に欠損するアリルを有するマウスの樹立に成功した.その後、creを発現するマウスと交配し,全身においてTLT-2を欠損するマウスを樹立した.今後このマウスをもちいて解析を行う.
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