研究概要 |
【目的】Streptococcus intermediusは膜孔形成毒素(ILY)を産生する。我々は10~40ng/ml ILYにより誘導される胆管上皮細胞死では、Ca^<2+>振動が細胞死に先行してみられることを見出した。本研究では、ILYにより生じるCa^<2+>振動により、カルシニューリンNFAT1経路の活性化が生じ、非アポトーシス型胆管上皮細胞死が誘導されることをまずはじめに明らかにすることを目的とした。さらにS.intermedius histone-like DNA binding protein (Si-HLP)により、培養ヒト単球様細胞(THP-1)においてMEK-ERK1/2及びSAPK/JNK経路を介して、炎症性サイトカインの産生を増強することを報告した。本研究では,微量サンプル中に含まれるサイトカインを包括的かつ同時に定量できるBio-plex測定法を用いて、rSi-HLPがTHP-1細胞のサイトカイン発現バランスに及ぼす影響についても検討した。【方法】rSi-HLPで胆管細胞癌株HuCCT1を刺激し、DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現変化、免疫染色法、ウエスタンブロット法を用いて解析した。またrSi-HLP(25,50μg/ml)でTHP-1細胞を8,24時間刺激し、培養上清中のIL-1β,IL-8,TNF-αをBio-plex測定法を用いて定量した。【結果と考察】ILYにより生じるCa^<2+>振動により、カルシニューリンNFAT1経路の活性化が生じ、非アポトーシス型胆管上皮細胞死が誘導されることを英文誌にて発表した。さらにrSi-HLPでTHP-1細胞を8時間刺激すると、IL-1β,IL-8,TNF-αのmRNA発現およびタンパク質産生量が増加することを明らかにした。サイトカイン産生誘導能に関しては、さらに詳細な検討が必要と考えられる。
|