研究課題/領域番号 |
21592389
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
筑井 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10295090)
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研究分担者 |
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20346802)
河津 俊幸 九州大学, 大学病院, 助教 (20294960)
徳森 謙二 九州大学, 歯学研究院, 准助教 (40253463)
吉浦 一紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20210643)
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キーワード | 咬筋 / 筋線 / 拡散 / 拡散異方性 / 拡散テンソル / 開閉口 / 深層 / 浅層 |
研究概要 |
筋肉の見かけの拡散係数(ADC)は、筋疲労、筋損傷などにより変化する事が、明らかになってきた。しかし、安静時と負荷時においての拡散係数は、筋変形により変動する事が考えられる。また、筋肉は紡錘形の形態より、方向による拡散のしやすさが異なり、拡散異方性をもつと考えられている。我々は、開閉口が咬筋の拡散異方性による変化を検討した。15方向の傾斜磁場をかけた拡散テンソル画像を採取し、筋肉内における、拡散テンソルの固有値、固有ベクトルの検討を行った。なお、高精細の解剖画像を重ね合わせることにより、下顎切痕、下顎孔、下顎臼歯根尖部の、拡散テンソルの固有値(λ1、λ2、λ3)を求めた。λ1は、筋線維にそった拡散を、λ2は、筋周膜間の拡散を、λ3は、筋線維に垂直(筋線維内)の拡散を表すとされる。 開口により、λ3は、上方の下顎切痕、下顎孔部では、有意に減少した。しかし、この変化は、筋肉の下方(下顎臼歯部混線部)ではみとめなかった。λ3の増加は、筋線維の伸展による径の短縮によるものと思われ、この変化が、上方に著明に見られたのは、咬筋の中の特に深葉(比較的上方に存在する)の変化をとらえているものと思われた。一方、閉口により、λ1、λ2は、筋肉の上方から下方の全体で観察された。特にλ2の変化が、λ1に比較して大きく、筋変形による筋線維間のスペースの増大などが起因と考えられた。このように、拡散固有値は、開閉口などの筋の伸展、収縮の状態を反映し、さらに、深層、浅層といった各コンパートメントの変化を反映しているものと考えられた。 筋線維走行を描出するトラクトグラフィーでは、安静時、閉口時では、容易に線維走行が追跡可能であったが、開口時では、中央面ちかくで、線維の追跡が不可能になるケースが多かった。筋変形による筋走行のねじれなどにより、拡散異方性の低下をもたらしたためと考えられた。
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