研究課題/領域番号 |
21592389
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
筑井 徹 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (10295090)
|
研究分担者 |
岡村 和俊 九州大学, 歯学研究院, 助教 (20346802)
河津 俊幸 九州大学, 大学病院, 助教 (20294960)
徳森 謙二 九州大学, 歯学研究院, 准教授 (40253463)
吉浦 一紀 九州大学, 歯学研究院, 教授 (20210643)
|
キーワード | 咬筋 / 拡散 / 異方性 |
研究概要 |
第一に開閉口が咬筋の拡散異方性による変化を検討した。11名のボランティアを対象に拡散テンソル画像を撮像した。画像データより、決定論的方法をもちいて、筋線維の描出を評価した。安静時、開口時は、描出が良好であったが、咬合時には、ほぼ全症例において、途中で連続性が失われていた。次に、拡散の偏りの大きさ(fractional anisotropy ; FA)の閾値を0.15から0.24の範囲で変化させ、当てはまる領域の割合を検討した。下顎孔レベルでは、開口時、FA0.15の時、97%であり、閾値を上げても、領域は減少するものの、FA0.24でも、85%の領域が、抽出された。安静時では、FA0.24の時、70%であり、閉口時では、FA0.24の時、59%と非常に低い値となった。閉口時では、閾値以下のFAの領域が、ハスの断面のように広がった。咬筋が複数の層からなることを考えると、閉口、噛みしめによる局所における筋束の複雑な走行変化が、FAの低下をもたらし、決定論的方法による筋線維描出を困難にしている事が明らかになった。 第二に、7名のボランティアに対して、左側咬筋の閉口(上下顎のかるい接触5分間)による影響を32-P-MRスペクトロスコピィー(MRS)を用いて行った。撮像は、Single volumeで、関心領域の選択は、ISIS法を用いた。ADP濃度の指標とされるPi/PCr比を検討した。安静時は、0.15±0.05であったが、閉口時は、0.40±0.28と上昇した。その直後は、0.22±0.16と減少し、5分後には、安静時の値に戻った。この事は、かるい閉口では、task時にはわずかにADPの蓄積を認めるものの、比較的早期に元に回復する事が明らかになった。このことは、本年までに解明した閉口(噛みしめ)後の血流回復、一過性の血流増大と関係する可能性が示唆された。
|