研究概要 |
我々は、より正確な唾液腺疾患の診断を可能にするために、超音波造影剤を経導管的に唾液腺に注入した後、超音波検査を行い、腺体の変化の把握に加え導管系の微細な変化も超音波検査法で検出するという、超音波唾液腺造影法という新しい診断法の確立を最終目的とし、基礎研究を行っている。平成23年度は以下の検討を行った。 1.造影剤濃度の再検討 前年度の検討では、至適造影剤濃度を1000倍希釈とした。しかしながら、筋線維などの生体内にある高輝度構造物の存在を考慮すると、より高い濃度が必要と考えられた。ファントーム中のバリウム濃度を2倍にし、意図的に作成時の撹拌を最小限にした場合、1000倍希釈造影剤は点状高輝度構造物と同程度の描出であった。臨床に用いる場合は100倍希釈程度の造影剤がよいと考えられた。 2.撮像条件の検討 (1)2D画像での撮像条件 ・通常のドプラモードでも造影剤の信号が検出されたが、ハレーションが大きく実用性は低いと考えられた。 ・どのプローベでもphase inversionの周波数を用いると、造影剤仕様でなくても造影剤の信号を検出できた。 ・深部の描出の良好性や操作性から9Lのcontrastを使用し、参照B-mode画像を表示して撮像する方法が実用的と考えられた。造影剤のマイクロバブルを破壊しないよう、MI値を0.3前後に下げ、表示用のgainを上げて撮像した。 (2)3D画像での撮像条件 ・4D/3Dプローべのphase inversionの周波数を用い、MI値を0,3前後に下げ、表示用のgainを上げて、ファントームの3D画像撮像を行ったところ、全体像を撮像することができた。 描出像より、臨床応用した場合の問題点として、(1)造影剤信号増強により、管径の正確な把握ができないこと、(2)表層に管が描出されると、その深部の描出が悪い、などが挙げられた。
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