研究課題
平成22年度は、様々な頭頸部病変を対象に、灌流・拡散強調(intravoxel incoherent motion, IVIM)MRイメージングを行い、得られる3つのパラメータについて比較検討した。3つのパラメータは以下のとおり。・拡散に関係するパラメータとして(1)D_<slow>(pure molecular diffusion coefficient)・灌流(毛細血管内血流)に関係するパラメータとして(2)f(perfusion fraction)ならびに(3)D_<fast>(perfusion-related diffusion coefficient)対象とした頭頸部病変のうち、まず唾液腺腫瘍について、多形性腺腫、Warthin腫瘍、悪性腫瘍という3群に分けて、これら3つのパラメータについて比較したところ、次のような結果が得られた。(1)D_<slow>については、多形性腺腫>悪性腫瘍>Warthin腫瘍(2)fについては、Warthin腫瘍>悪性腫瘍、多形性腺腫(3)D_<fast>については、Warthin腫瘍>悪性腫瘍>多形性腺腫(不等号は有意差あり)灌流に関連したパラメータであるfやD_<fast>の値の違いは、多形性腺腫、Warthin腫瘍、悪性腫瘍の各腫瘍内における灌流の違いを反映していると考えられる。これまで、これら唾液腺腫瘍の鑑別には灌流情報が有用で、灌流情報を得るために造影剤を用いたdynamic studyが必要とされていたが、灌流・拡散強調MRイメージングを用いると、造影剤を使用せずに鑑別に有用な灌流情報を得ることができた。同時に拡散情報が得られることは言うまでもなく、灌流・拡散強調MRイメージング法は、安全性と簡便性とを兼ね備えたMRイメージング法としてその応用範囲は広いと考えられる。これらの結果について、雑誌Radiologyに投稿準備中である。
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J Magn Reson Imaging
巻: (掲載確定 印刷中)
巻: 31 ページ: 673-679