本研究はmiRNA発現プロファイルによるmiRNAの選抜、miRNAのエピジェネティクスな発現調節の解明、siRNAのラットおよび培養細胞へ導入よる制御機構の解明を目的としたものである。新規に選抜されたmiRNAと今までに報告されたmiRNAを用いて解析中である。これらの結果より発現量に大きく差がみられた遺伝子を中心に、ジェネティックおよびエピジェネティックな発現制御機構の解析を実行した。 本年度は口腔癌の前癌病変および境界病変における遺伝子変異と組織型との相関を明らかにし、病理組織診断の診断基準や予後の指標となる新たなマーカーを見出して、上皮異形成や上皮内癌など、外科医や病理医が日常苦慮する症例の客観的な診断基準を確立したい。 (1)舌がんモデル動物を用いて、前癌病変に関連する遺伝子の選抜と機能解析を行う。 (2)選抜された遺伝子(今回の研究は予備実験で見出した細胞増殖に関連するRNA結合タンパク質hnRNP K)による、前癌病変の病理組織や血清の腫瘍マーカーになる抗体の開発。 現在、数多くの腫瘍マーカーが発見され臨床応用されているが、口腔における早期癌に関してはまだ確立されていないため、本研究では、早期の肺癌及び大腸癌において高発現することが知られているRNA結合タンパク質の一種であるリボヌクレオプロテインK(hnRNP K)に着目し、同様の粘膜上皮由来である舌癌においてもhnRNP Kが診断マーカーとして有用であることを分子生物学的、免疫組織学的に検討した。
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