ラットに移植したヒト腎癌細胞株の生着を確認後、アドレノメジュリンアンタゴニスト発現ベクターを筋肉内に投与し、空ベクターをコントロールとして抗腫瘍効果を検討した。その結果、筋肉内にadrenomedullin antagonist発現ベクターを投与した群では、腫瘍増殖の抑制、生存期間の延長が得られ、病理学的には腫瘍内の血管新生が抑制されていた。膵がん細胞株のヌードマウスモデルや食道がん細胞株のSCIDマウスモデルにおいてもadrenomedullin antagonist発現ベクターの筋肉内投与群ではからベクター投与グンと比較して腫瘍増殖が抑制され、生存期間が延長することが確認されており、病理所見上も血管新生が抑制されることやGlut-1発現の抑制が認められることが確認されている。血中のadrenomedullinn antagonistペプチド濃度の測定は測定限界以下のためか検出できなかったが、腫瘍組織中でのadrenomedullin antagonistの存在はimmunohistochemistryにて確認されており、筋肉内で発現するadrenomedullin antagonist発現ベクターによって産生されたadrenomedullin antagonistが血液を介して主要組織に運ばれて効果を示している可能性が示されている。この結果は筋肉内へのadrenomedullin antagonist発現ベクターの投与という遺伝子治療の有効性を示唆している。今後別の腫瘍を用いた検討を行う予定である。
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