^<18>FDGに代わる新しいPET用トレーサーであるCholineに注目し、その腫瘍への集積特性を明らかにするために臨床的な分析行った。特にH22年度は、^<11>Cあるいは^<18>Fで標識したCholineを用い、舌癌と歯肉癌に対する集積について^<18>FDGとの比較を行った。 (1) 舌癌23例、顎骨浸潤を伴う歯肉癌16例の^<18>FDG-PETを分析したところ、トレーサー集積量を示すSUVは、舌癌より顎骨浸潤を伴う歯肉癌に対し高値を示した。 (2) ^<11>C-Cholineあるいは^<18>F-CholineによるPETでは、舌癌と顎骨浸潤を伴う歯肉癌に対して有意なSUVの違いは認められなかった。 (3) ^<11>C-Cholineあるいは^<18>F-Cholineの舌癌に対する集積は、^<18>FDGと同程度であった。すなわちCholineの場合、^<18>Fで標識しようが^<11>Cで標識しようが、顎骨浸潤の有無による集積に違いはない。 (3) 以上の所見から、^<18>FDGが骨浸潤のある症例に高集積を示すのは、^<18>Fがハイドロオキシアパタイトに結合するのではなく、それ以外の間質細胞に集積するためと推測された。 ^<18>FDGを用いたPETでは、顎骨浸潤を伴う歯肉癌は舌癌より大きなSUVを示した。この理由には2つの可能性がある。1つは、^<18>F自身が骨の破壊によって露出されたハイドロオキシアパタイトへ吸着すること、他方は破壊された骨や腫瘍細胞に集まっている間質細胞への集積である。しかしながら、^<18>Fで標識したCholineは、舌癌に対し^<18>FDGと同等の集積を示すにもかかわらず、歯肉癌に対しては大きな違いを示さない。すなわち^<18>F自身のハイドロオキシアパタイトへの吸着の関与は少ないと思われる。これらの成績から、^<18>FDGは腫瘍細胞のみならず、骨代謝に関連するosteoblastやosteoclastなどの間質細胞へ集積することが予想される。このことから、Cholineは癌細胞のみに集積し骨に関連する細胞にはほとんど集積せず、Choline PETは^<18>FDG PETよりも正確な腫瘍領域を画像化していると推測された。
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