研究課題
現在PETの腫瘍トレーサーとして^<18>F-FDGが広く用いられている。しかし、^<18>F-FDGは糖尿病患者では集積が低下するという短所がある。それに対しCholine製剤は細胞膜の脂質代謝亢進に伴って細胞内に取り込まれるが、血中グルコースや腫瘍細胞のグルコース代謝に関係しないと言われている。特にH23年度は、^<18>Fで標識したCholineを用い、Choline集積に対する患者の血中グルコース濃度の影響について^<18>FDGと比較した。H23年3月の東日本大震災のためサイクロトロンが故障し、研究開始が9月と遅れ対象症例は少なかったが、以下の成績が得られた。1.口腔癌患者(T2症例)に対し、^<18>F-Choline PET検査15名と^<18>F-FDG PET検査9名の腫瘍組織のSUVと空腹時血糖値を測定した。2.^<18>F-Choline PETでは、SUVと血糖値との間に相関がなかった(r=0.231)。3.^<18>F-FDG PETでは、対象症例群ではSUVと血糖値との間に相関がなかった(r=0.115)。血糖値が高い状態で^<18>F-FDGを投与した場合、血中から組織への^<18>F-FDGの取り込みは血中グルコースと競合が起こり、腫瘍組織のSUVの低下を引き起こして診断に影響が生じる。今回我々は^<18>F-Choline PET検査による腫瘍のSUVと空腹時血糖値の関係を検討したが、空腹時血糖値に関わらず^<18>F-Cholineは腫瘍組織へ良好に集積し、基礎疾患として糖尿病を有する口腔癌患者に対しても有用であることが示唆された。しかしながら、今回行った^<18>F-FD GPET検査においてSUVと血糖値の間には相関を認めなかった。これは検査に影響を与えるような血糖値でなかったことが大きな要因の1つと考えられる。しかし更に今後症例数を増やして検討しなければならない。
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Journal of Nuclear Medicine
巻: 52 ページ: 1400-1407
巻: 52 ページ: 511-518