歯科パノラマX線撮影の診断参考レベル(DRL)を確立し、患者防護の最適化を推進するため、線量幅積(DWP)の広域調査を行う必要がある。光刺激ルミネセンスCT線量計(以下OSL CT線量計)は、CTの線量プロフィールを測定しCT線量指数による装置の品質管理に利用されている。パノラマ撮影のDWPを広域調査する手段としてこのOSL CT線量計を利用することを目的として、平成21年度はOSL CT線量計の基礎的特性を研究した。パノラマ装置の使用管電圧60-90kVの線質を模擬した一般撮影用X線装置でエネルギー特性、角度依存性、空間分解能を調べた。その結果、管電圧75kV(実効エネルギー35 keV)のビームに対して60-90kV(30-40keV)でOSL CT線量計の感度は±6%変化した。そこで75 kV(35 keV)のビームで較正すれば、±6%以内の正確さでDWP測定に利用することができる。またこの管電圧の範囲では、ビームの入射角が60度までは、応答感度に角度依存性は認められなかった。パノラマ装置は水平方向に対して上向きに6から10度のビーム角度で照射するよう設計されている。このためDWPを測定する2次スリット位置で、スリットに垂直に設置したOSL CT線量計に対してはビームが斜入することになる。しかし、パノラマ装置の6-10度の入射角度による応答の変化は無視できることが解った。さらに解像力テストチャートをOSLCT線量計に蜜着させて75 kVのビームで照射し、線量プロフィールを測定する時の空間分解能を調べたところ、4LP/mmまで解像できた。これはパノラマ装置の通常5mm程度のスリットビームの線量プロフィール測定からDWPを得るためには充分に高い空間分解能である。ゆえにOSLCT線量計はパノラマ撮影のDWP測定に適していると考えられた。
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