研究概要 |
パノラマX線装置4台について、X線フィルム、ペンシル型CT電離箱、光刺激ルミネセンス(OSL)線量計を用い線量幅積(DWP)測定におけるOSL線量計の有用性を検証した。DWPは2次スリット位置で、ビーム高さHの中央およびその5cm上下の3箇所で測定した。コーンビームCTが併用できるハイブリッド機については、面積線量(DAP)の測定も行った。さらに25台のパノラマX線装置に対する熱ルミネセンス線量計(TLD)を用いた2次スリット位置での線量プロフィールの測定とOSL線量計によるものとを比較して、後者の特長を検討した。パノラマ装置のビーム高さ位置によって異なる線量プロフィールが、OSL線量計ではTLDより高い空間分解能と優れた線量応答直線性によって正確に測定できた。V字形1次スリットを有する機種では、DAPをDWP値から算定するとき、DWPを測定する高さ位置が重要であった。これらの機種では、DWP値がビームの高さ位置に応じて概ね線形な増加を示したことから、高さの半分H/2で測定したDWP値を用いて、DWP・HでDAPは近似できた。どの装置でも3箇所で測定したDWPの平均が、ビーム高さの中央で得られるDWP値と±5%以内で一致したことから、H/2位置のDWPを利用するのが合理的と結論した。25台の線量プロフィールからピーク線量と半値幅(FWHM)の積を計算すると、平均、最小、最大、中央、第3四分位数の値は60.9,14.8,231,43.7,77.0mGy mm、DWPの対応する値は72.7,17.7,263,53.9,96.4mGy mmであった。積はDWPを8から21%過小評価したが、DWPとよく相関していた。プロフィールのピーク線量とFWHMはともにパノラマ撮影のDWPに寄与する重要な量であり、またDAPはハイブリッド機で容易に測定でき、撮影の最適化ツールとして有望である。
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