研究概要 |
CT用の光刺激ルミネセンス(OSL)線量計は有効長150mm幅6mmの薄膜(30μm)短冊で、本来ファントム中のCT線量指数を測定するため遮光性ポリカーボネイト樹脂円筒容器(長さ175mm直径12mm)に入れて提供される。パノラマ撮影のビームに対する空中での水平方向の線量プロフィールK_airを測定するためには容器によるビームの擾乱が生じないよう工夫する必要がある。幾種かの材料を検討し、パノラマ撮影装置の測定に適した容器を試作してそのエネルギー特性、角度依存性、空間分解能等を一般撮影用X線装置で研究し校正法を確立した。本手法を用いパノラマ撮影装置4台についてビーム高さ位置hで線量プロフィールK_air,hを測定したところ、OSL線量計は熱ルミネセンス線量計より高い空間分解能と優れた線量応答直線1生によって高精度に測定ができた。また日本品質保証機構で校正されたペンシル型CT電離箱(Radcal10x5-3CT)を用いて同じ箇所の線量幅積DWP_hの測定値と比較した結果5%以内の正確さであった。さらにビーム射出口に面積線量計(PTW DiamentorM4)を設置してモニターし、空中で同時照射したOSL線量計とX線フイルム(Kodak X-Omat)によるビーム高さの測定値Hを用いて面積線量DAPを∫DWP_hdhのHまでの積分値と比較したところ両者は6%以内で一致した。面積線量計は患者撮影中のDAPをモニターでき最近市販されているパノラマ撮影と歯科用コーンビームCTが切り替えて撮影できるハイブリッド機種やセファロオプション付きの機種に対しても有用である。しかし今後パノラマ撮影ビームの著しく不均一な線量分布を詳細に研究し面積線量計を正確に校正するために、線量プロフィールの測定に加えてフイルムスキャナーやイメージングプレートを用いた線量分布の測定も必要と思われた。
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