研究概要 |
細胞死関連蛋白質に属するBcl-2ファミリー蛋白質は細胞死抑制因子及び細胞死促進因子に分類され、これらのバランスによって細胞の運命(生存或いは死)が決定されるという考え方が支配的である。転移巣由来細胞株では原発巣由来細胞株に比べてTRAIL誘導性アポトーシスに抵抗性を示し、TRAIL誘導性アポトーシスにストレスキナーゼJNK活性化が関わっていることから、アポトーシス関連遺伝子と腫瘍の転移との関連性が示唆されており、また、細胞死抑制関連蛋白質に属するAkt, NF-κB, protein kinase C(PKC)-αなどは持続的なJNK活性化を負に制御していることが示されている。 本年度のin vivoにおける実験では、化学療法剤耐性及び転移性扁平上皮癌細胞株を免疫不全SCIDマウスへ接種し、腫瘍形成・サイズ、生存日数、化学療法剤感受性、及び転移の有無で評価を予定しており、その基礎実験として接種する細胞濃度の検討を行った。1*106cellsの接種では全例でその生着率が認められなかったが、濃度を高くすることで生着率は向上の可能性がある。In vitroにおける実験では、現在までに樹立された細胞株を用い、Akt1、Akt2、Akt3およびこれらのリン酸化(p-Akt)、またFOX、PTENについても同様に蛋白レベルで変化があるか確認を行った。結果、転移巣由来の細胞株でp-Akt1および3で上昇が認められたがp-Akt2ではその変化を認めなかった。FOXについては、転移巣由来の細胞株でFOX1,3および4の上昇を認めた。PTENはわずかながら転移巣由来の細胞株で上昇を認めた。
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