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2009 年度 実績報告書

顎関節症を想定したIL-17による骨軟骨破壊の分子機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21592401
研究機関日本大学

研究代表者

前野 正夫  日本大学, 歯学部, 教授 (60147618)

研究分担者 鈴木 直人  日本大学, 歯学部, 准教授 (10226532)
川戸 貴行  日本大学, 歯学部, 助教 (50386075)
キーワードIL-17 / 破骨細胞 / 顎関節症 / 骨吸収 / 細胞分化 / 炭酸脱水酵素II型 / カテプシンK / マトリックス金属プロテアーゼ-9
研究概要

顎関節症における関節の軟骨破壊と骨吸収を想定し,破骨細胞前駆細胞として用いたマウス由来の株化単球/マクロファージ(RAW264.7細胞)をIL-17Aで直接刺激して破骨細胞への分化に及ぼすIL-17の影響を調べた。その結果,RAW264.7細胞はtype Aとtype CのIL-17受容体(IL-17R)を発現しており,type AのIL-17R発現はIL-17A刺激により増加した。IL-17AはRAW264.7細胞の酒石酸耐性酸ホスファターゼ(TRAP)染色性を低下させ,TRAP陽性の多核の破骨細胞様細胞数を減少させた。破骨細胞は,細胞質に存在する炭酸脱水酵素II型(CA II)によってCO_2とH_2Oから炭酸を生成し,その電離によって生じたプロトン(H^+)が,細胞膜のH^+-ATPaseによって波状縁から細胞外に放出される。放出されたH^+は,明帯によって閉鎖された空間の環境を低いpHに保ち骨無機質を溶解する。一方,破骨細胞は,マトリックス金属プロテアーゼ(MMP)-9やカテプシンKなどのプロテアーゼを産生して細胞外に分泌する。分泌されたこれらの酵素は,H^+による酸性環境下で骨基質タンパクを加水分解する。そこで,これらの骨吸収関連酵素の発現に及ぼすIL-17Aの影響を調べた。その結果,IL-17A刺激によってMMP-9とカテプシンK発現は有意に低下したが,CAII発現にはその影響が認められなかった。なお,IL-17刺激によるこれらの変化は,IL-17中和抗体の存在下で完全にブロックされた。次に、骨芽細胞との細胞間相互作用に不可欠なRANKL受容体(RANK)およびM-CSF受容体(c-fms)の発現に及ぼすIL-17Aの影響を調べた。その結果,IL-17A刺激によってc-fms発現は低下したが,RANK発現にはその影響が認められなかった。以上のことから,IL-17Aは,破骨細胞前駆細胞の破骨細胞への分化を抑制し,破骨細胞の骨吸収に関連するプロテアーゼ発現を低下させて,骨基質タンパクの加水分解を抑制することが示唆された。また,関連研究から,骨芽細胞(MC3T3-E1細胞)に圧迫力を付加すると,IL-17とIL-17Rの全てのsubtypeの発現が誘導されること,IL-17とIL-17Rは,骨芽細胞のRANKLとM-CSFの発現を増加させ,osteoprotegerin発現を低下させることが認められた。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] IL-17A suppresses the expression of bone resorption-related proteinases and osteoclast differentiation via IL-17RA or IL-17RC receptors in RAW264.7 cells2010

    • 著者名/発表者名
      Satoshi Kitami
    • 雑誌名

      Biochimie 92巻

      ページ: 398-404

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Compressive force stimulates the gene expression of IL-17s and their receptors in MC3T3-E1 cells2010

    • 著者名/発表者名
      Fan Zhang
    • 雑誌名

      Connective Tissue Research (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] IL-17は破骨細胞の分化とタンパク分解酵素の発現を抑制する2010

    • 著者名/発表者名
      北見聡
    • 学会等名
      平成22年口腔衛生関東地方研究会総会・学術大会
    • 発表場所
      日本歯科大学生命歯学部(東京都)
    • 年月日
      2010-03-06
  • [学会発表] インターロイキン-17は破骨細胞のタンパク分解酵素の発現を抑制する2009

    • 著者名/発表者名
      北見聡
    • 学会等名
      第58回日本口腔衛生学会・総会
    • 発表場所
      長良川国際会議場(岐阜県)
    • 年月日
      2009-10-11
  • [学会発表] IL-17は破骨細胞前駆細胞の分化とプロテアーゼの発現を抑制する2009

    • 著者名/発表者名
      北見聡
    • 学会等名
      第18回硬組織再生生物学会学術大会・総会
    • 発表場所
      北海道医療大学札幌サテライトキャンパス(北海道)
    • 年月日
      2009-09-05
  • [学会発表] メカニカルストレスは骨芽細胞が産生するIL-17とそのレセプター発現を促進する2009

    • 著者名/発表者名
      張凡
    • 学会等名
      第18回硬組織再生生物学会学術大会・総会
    • 発表場所
      北海道医療大学札幌サテライトキャンパス(北海道)
    • 年月日
      2009-09-05
  • [学会発表] IL-17は破骨細胞の分化とプロテアーゼの発現を抑制する2009

    • 著者名/発表者名
      北見聡
    • 学会等名
      第61回日本大学歯学会総会
    • 発表場所
      日本大学歯学部(東京都)
    • 年月日
      2009-05-16

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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