SPARCは、オステオネクチンやBM40としても知られているマトリセルラータンパク質である。これまで、癌細胞の肺転移におけるSPARCの役割を調べるため、SPARCノックアウトマウスを用いて検討してきたが、SPARCノックアウトマウスで肺転移が抑制される結果を得ている。そこで、SPARCノックアウトマウスの肺において、ワイルドタイプマウスに対して発現している遺伝子群が異なるのではないかと仮説のもと遺伝子発現の変化を調べたところ、昨年度報告した4遺伝子(Camp、Ngp、Ig-γ、Saa3)の他、Gpr84とPtk6の2つの遺伝子も、SPARCをノックアウトすることで発現が増加する遺伝子として同定された。これまでに発現が変化することの報告のあったI型コラーゲンやTGF-βなどは、3系統のSPARCノックアウトマウスで共通した発現パターンを示さなかった。 一方、C3H系のSPARCホモノックアウトマウスは、1年齢未満では、明瞭な白内障は見られなかったが、1年齢を越えると、ほとんどのマウスで白内障を発症した。従って、白内障の発症は、3系統すべてのノックアウトマウスに共通した表現系であることが証明された。
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