研究概要 |
前年度に、最長でair lift後、7日間ほど維持できるin vitroでの再構築モデルを完成させることができた。このモデルは、keratinocyteの平面的なシート状増殖→重層化→角化という重層扁平上皮の分化をほぼ忠実に再現でき、皮膚および口腔粘膜という異なる2組織において実現することができた。しかし、依然として、長期間維持することは、まだ実現できていない。 この再構築モデルやもっと単純なHEK293細胞によるtrCLCA強制発現系においてsiRNAによる抑制実験を行った結果、trCLCAの発現抑制効果が得られた。さらにin vivo(ラット背部皮膚)において、siRNAによるtrCLCAの発現抑制を試みた。 数種類の軟膏製剤、electrophoresis、iontophoresis、上皮下への直接注入など考えられる手段をすべて試した。いずれの方法も抑制効果は見られるものの、抑制効果の調節(抑制の程度、範囲、抑制効果の持続時間など)を術者の思いのままにコントロールできるほど満足な効果を得ることがこれまでできていない。 抑制効果の得られた重層扁平上皮組織においては、隣接する抑制効果のみられない組織あるいは陰性コントロール組織と比較して、CK10,CK14を始めとするケラチンタンパクのプロファイル、PCNAで評価した細胞活性(増殖能と正の相関がある)、接着因子の発現に変動がみられた。Δp63,p63,EGFRなど他に検討を行った重層扁平上皮の幹細胞を絞り込むために利用されているマーカーや成長因子については、顕著な差異はみられていない。
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