本研究の目的は、ヒト抜去歯と比べて比較的容易に入手できる抜去牛歯に着目し、牛歯を色素で着色して変色歯モデルを人工的に作製し、これを用いてオフィスブリーチのための漂白材、漂白法を評価するためのシステムを確立することにある。そこで、まず、変色歯モデルを作成するための染色液、染色方法の決定をすべく、各種色素試薬および着色性の食品等を用いて変色歯モデルの作成を試みた。これらの色素溶液を用いて各種条件で牛歯を着色して、漂白材の評価モデルとしての適性を検討したところ、紅茶が変色歯モデル作成の色素として最適であることが明らかとなった。紅茶を色素として用いて牛歯変色歯モデルを作成し、これを用いて、可視光応答型二酸化チタン光触媒含有のオフィスブリーチング材に対して404nm青紫レーザー光源を用いた際の漂白効果を評価したところ、本変色歯モデルが漂白効果の評価モデルとして適切であることが明らかとなった。また、本変色歯モデルと他のin vitroの方法、および、臨床評価を比較するために、メチレンブルー水溶液、および、ヘマトポルフィリン染色紙を用いた可視光応答型二酸化チタン光触媒含有のオフィスブリーチング材の評価、および、ホームブリーチング材の臨床評価を行った。今後、これらの結果と牛歯変色歯モデルを用いての評価結果を比較・検討する予定である。
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