研究分担者 |
松尾 敬志 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (30173800)
尾崎 和美 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90214121)
中西 正 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00217770)
中江 英明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227730)
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研究概要 |
電磁・高周波照射を歯内療法へ応用する為に、まず照射条件の検討を行った。周波数を500-1,000kHzに、通電時間を1秒間に設定し、能動電極はK-file(#10-40号)を使用した。顕熱物質として卵白やアルブミンを注入した透明樹脂製円柱状容器に能動電極を挿入して、20W出力で1秒間通電させた。その結果、電磁・高周波波照射後、能動電極先端部の側面方向に1-2mm程度の蛋白凝固層が認められた。さらに、寒天培地上に播種した大腸菌や口腔内細菌に電磁・高周波を照射し、すると、約2-3mmの発育阻止円が確認され、上述の蛋白凝固層と同様に、寒天培地上で側方に向けての殺菌効果が確認できた。次に、口腔内細菌(Porphyromonas gingivalis, Streptococcus mutans等)の菌懸濁液に電磁・高周波を照射(500-1,000kHz, 1回1秒,5-10回)した後、菌液を寒天培地に塗沫し、37℃で培養し、コロニー数を測定した結果、照射回数依存的に顕著なviabilityの減少、すなわち殺菌効果が認められた。また細菌の形態を走査型電子顕微鏡にて観察すると、電磁・高周波照射後のレンサ球菌では明からな連鎖の減少と変性した細菌塊が認あられた。さらに、電磁・高周波照射したS. mutansでTHP-1細胞を刺激して、そのサイトカイン産生誘導能を解析し、電磁・高周波照射したP. gingivalisのジンジパイン活性も測定した。これらの解析により、電磁・高周波照射したS. mutansのサイトカイン産生誘導能は、熱処理した死菌レベルまで減少し、P. gingivalisのジンジパイン活性も顕著に抑制される事が明らかとなった。これらの結果より、電磁・高周波照射は、顕著な殺菌効果を認め、根管系に棲息する病原細菌の殺菌に有効である可能性が示唆された。
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