研究課題
基盤研究(C)
根尖性歯周炎への歯内治療成功率向上と難治性根尖性歯周炎の病態解明・治療法開発に向け、根尖部バイオフィルムに対し様々な研究が行われている。近年、歯科治療において各種レーザーが光学的治療法(photodynamic therapy : PDT)として応用されつつあり、歯内治療においても各種レーザーが根管の無菌化に対して高い効果を発揮するという報告もある。今回我々は、レーザーの中でも低出力から高出力までの連続的変換使用が可能な半導体レーザー(パナソニックP-Laser)の殺菌効果・作用条件および殺菌メカニズムを明らかにするため、新たにin vitro根尖病巣モデルを作製し、半導体レーザーの作用量(出力およびパルス幅)、作用時間、また、半導体レーザー集積に影響を与える特定色素(photosensitizer : PS)の有無による、レーザー照射の根尖部病巣モデルへの影響を検討した。実験の結果、半導体レーザー照射により、in vitro根尖病変モデル内のE. faecalisはPS存在下で死滅したが、PS非存在下では殆ど死滅しなかった。また、PS存在下ではレーザー照射によって病巣内部の温度は65℃と著しく上昇したが、病巣周囲の温度には殆ど変化がなかった。さらにE. faecalisはレーザー照射時と同じ温度の一過性の熱刺激のみでは死滅しなかった。すなわち、半導体レーザーはPSを併用することでE. faecalisに殺菌効果を示すこと、半導体レーザーのエネルギーはPS併用により周囲に拡散せず根尖病巣部のみに集積すること、およびレーザー照射時にみられる発熱と同程度の熱刺激のみではE. faecalisは死滅しないことから半導体レーザーによる殺菌効果は発熱によるものではないことが明らかとなった。
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