研究概要 |
今回培養血管内皮細胞にレーザーによって無菌的に広範囲に損傷を与え損傷を受けた血管内皮細胞の歯髄細胞に与える影響を調べることとし、5週齢の雄性Wisterラット4匹の下顎切歯より歯髄組織を摘出し、Collagenase、trypsin、EDTAを含む酵素液にて細胞を分離し5%CO2条件下にてα-MEM培地に10%FBSを加え培養した。一方ラット大動脈内皮細胞(凍結細胞)(旭硝子)をラット内皮細胞成長培地(旭硝子)にて培養した。それぞれコンフルエントになったら1×104 cells/cm2の濃度で6well plate(Transwell 9415;, Corning Inc. )の上段に歯髄細胞、下段に血管内皮細胞を継代した。上段の底は直径8.0μmの孔のポリカルボネートの膜で覆われている。下段の血管内皮細胞には、Nd : YAGレーザーを0.5w, 20pps, 30秒照射し細胞に損傷を与えた。37℃、5%CO2にて培養し5、12日後に下段の遊走した歯髄細胞を含む血管内皮細胞のTotal RNAを調整しcDNAを合成しosteocalcin、TGF-β1の遺伝子の発現をRT-PCRによって調べた。コントロールとして上段に歯髄細胞を培養しないレーザーを照射した血管内皮細胞を用いた。RT-PCRの結果5、12日の遊走した歯髄細胞を含む血管内皮細胞においてTGF-β1、osteocalcin遺伝子の発現がわずかに認められた。12日では、TGF-β1、osteocalcinの遺伝子の発現がコントロールにおいても認められた。 血管に刺激が加えられた5日後に、歯髄細胞を含む血管内皮細胞においてのみTGF-β1、osteocalcin遺伝子の発現が認められることから遊走した歯髄細胞がこれらを発現している、もしくは共培養することによって発現が促進されたと推測される。
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