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2010 年度 実績報告書

耐久性に優れたう蝕予防効果を発揮する修復材の検討

研究課題

研究課題/領域番号 21592430
研究機関日本大学

研究代表者

黒川 弘康  日本大学, 歯学部, 助教 (10291709)

キーワード弾性率 / 客観的判定 / 超音波測定 / グラスアイオノマーセメント / 練和方法 / 経時的変化
研究概要

フッ化物イオンを放出するグラスアイオノマーセメントは,二次齲蝕の抑制や歯質の強化など,機能や審美性の回復にとどまらず,多様化する臨床に幅広く応用されている。一方,修復処置がなされた歯においては,その状態をいかに維持,管理するかが重要となる。とくに,粉・液から構成されているセメントは,機械練和を行うことで硬化反応を向上させる試みがなされているものの,これがセメント硬化物の機械的性質に及ぼす影響については未解明な点が多い。そこで,練和法がセメント硬化物の経時的な弾性率変化に及ぼす影響について,超音波パルス法を用いて検討した。
手用練和および機械練和型の充填用グラスアイオノマーセメントを各製造者指示条件に従って練和した後,透明型に填入,これを試料台に乗せて試片を透過する超音波の伝播時間を経時的に測定し,縦波および横波音速を求めるとともに,試片の密度とから理論式を用いて弾性率を算出した。
その結果,充填用グラスアイオノマーセメントの弾性率は,いずれの製品においても経時的に上昇したが,その傾向は練和法によって異なり,15分経過後と比較して60分経過後では機械練和型で有意に高い値を示した。このように,機械練和型で硬化初期における弾性率の上昇傾向が大きかった原因としては,手用練和型と比較して粉液が十分に撹拌されることで,セメントの硬化反応が効率よく進行したため考えられ,修復直後より比較的安定した弾性率を示したものと考えられた。さらに,弾性率の変動係数は,経過時間に関わらず,機械練和型で小さい値を示したことから,手用練和型で練和時における粉液比の変化の影響を受けやすく,変動係数が大きかった可能性が考えられた。
以上の結果から,充填用グラスアイオノマーセメントの弾性率は練和方法により影響を受け,症例によっては機械練和型のセメントを使用することが,修復物の予後を安定させるために有効であることが判明した。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 光重合型レジンの衝突摩耗性に関する基礎的研究2010

    • 著者名/発表者名
      黒川弘康, 天野紫乃, 瀧本正行, 村山良介, 浅野和正, 宮崎真至, 松崎辰男, 市石芳博
    • 雑誌名

      日歯保存誌

      巻: 53 ページ: 115-122

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Influence of power density and primer application on polymerization of dual-cured resin cements monitored by ultrasonic measurement.2010

    • 著者名/発表者名
      Takubo C
    • 雑誌名

      Eur J Oral Sci

      巻: 118 ページ: 417-422

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Adper Easy Bondの短期臨床成績2010

    • 著者名/発表者名
      渡邉孝行
    • 雑誌名

      日歯保存誌

      巻: 53 ページ: 508-516

    • 査読あり
  • [学会発表] グラスアイオノマー系セメントの練和法が硬化物の弾性率に及ぼす影響2010

    • 著者名/発表者名
      田久保周子
    • 学会等名
      日本大学歯学会学術大会
    • 発表場所
      日本大学歯学部大講堂
    • 年月日
      2010-05-15

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公開日: 2012-07-19  

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