研究概要 |
細胞培養液には、上皮細胞用培養液としてFBSを10%添加したFAD-FBSを、また線維芽細胞用として10%FBS添加DMEM液を自家調整したものを使用した。年齢5歳の幼若カニクイザルに全身麻酔を施し,上顎犬歯を抜去後、氷冷したFAD-FBS内に初代培養まで保管した。歯根表面にある歯根膜組織を剔削して細胞を回収し、typeIVコラーゲン塗布のBio-Coatフラスコを用い、3T3 cellをMitomycin処理してfeeder layerとした混合培養で初代培養を行った。外生した娘細胞コロニーの形成状態を観察から、上皮細胞と線維芽細胞を見分け、初代培養により上皮細胞と線維芽細胞を得た。その後に継代培養を試みたところ、細胞の増殖が十分に得られず、3継代目で細胞の増殖が停止したため三次元培養に必要な細胞数を確保することができなかった。そこで、生後6か月のブタ乳臼歯を入手し、同様の初代培養を行って得られた線維芽細胞と上皮細胞を用いることとした。線維芽細胞のラットコラーゲンゲル内培養を行い、その上に上皮細胞を播種し、気相培養を行った後に1,2,3,4,5,6,7日、1,2,3,4,5週で組織を取り出した。中性ホルマリン固定のパラフィン包埋およびOCTコンパウンドでの凍結包埋を行ったのち、凍結標本は-90℃超低温槽に保存するとともに、組織標本をHE染色、抗体染色を行い、免疫組織学的観察を行った。結果、培養細胞は1日目は島状の塊状であったものが、経日的に層状下を呈し、サイトケラチンに対し反応を示すようになった。詳細は日本歯科保存学会に報告する予定である。
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