研究課題/領域番号 |
21592434
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 勝 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90168104)
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研究分担者 |
北島 佳代子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00177841)
新井 恭子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 助教 (10434143)
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キーワード | 歯根膜 / 上皮細胞 / 再構成培養 / 免疫組織 / 移植 / ヘルトウィッヒ上皮鞘 / サイトケラチン |
研究概要 |
カニクイザルの上顎犬歯2本を抜去し、摘出6時間後に歯根膜組織を別削回収し初代培養を開始したが、上皮系細胞の外走増殖が得られなかったため、同様の初代培養をブタの埋伏下顎第1大臼歯を用いて行った。摘出埋伏歯の歯冠にある退化したエナメル器上皮を剥離除去後、歯根の形成のはじまった部分に相当する歯頸部周囲にあるヘルトウィッヒ上皮鞘(HES)を顕微鏡下で摘出しシャーレに播種した。約3週後に上皮細胞が外生し、その上皮細胞を回収し実験に供した。 上皮細胞をコラーゲンゲル上に播種し、一日静置、気相培養により三次元培養を行ったところ、線維芽細胞の存在がなくとも上皮細胞は重層化を示すことがわかった。その三次元再構成培養組織を1、2、3、4、5、6、7day、2、3、4wの実験期間で回収し、パラフィン包埋の後、連続切片の過酸化活性を抑制後、Cytokeratin19(CK19)、PAN Cytokeratin(PCK),Involucrin(IV)に対する免疫組織化学的検索を行った。 その結果、初代培養したHESから約2週後に上皮様細胞が発現した。それによる三次元再構成培養は垂直的には厚みが減少したが、メッシュ上での直径は変化がなく、色彩も肉眼的に変化は無かった。2日経過後までは上皮細胞の層状構造はタイトであったが、3日以降は細胞の分散傾向がみられるようなった。免疫組織化学的には、実験期間を通じPCKとIVに強陽性を示したが、CK19には反応がないか擬陽性を示し、PCKはコントロールと同様に上皮全体の層に発現を示したが、IVはコントロールでは基底細胞の歯肉における発現とは異なっていた。以上より歯根の形成を遊動するヘルトウィッヒ上皮鞘から得られた上皮細胞は三次元培養により重層化は示すものの、角化は示さず経時的に細胞の接着が弱まり細胞が分散するなど、歯肉とは異なる性質を有することが示された。
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