研究課題/領域番号 |
21592435
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
北島 佳代子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 准教授 (00177841)
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研究分担者 |
五十嵐 勝 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90168104)
新井 恭子 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 講師 (10434143)
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キーワード | 歯根膜 / 上皮 / 幹細胞 / 識別マーカー / SP分画 / FACS解析 / マラッセ上皮残遺 / ヘルトウィッヒ上皮鞘 |
研究概要 |
ブタ下顎乳歯前臼歯歯根中央1/3の歯根膜(PDL)から得た上皮様細胞に、幹細胞マーカーCD44と血管内皮細胞を除外するためにCD31を用いてFACSにてソートしたところ、CD31^-/CD44^+populationから高い幹細胞活性を有するSidePopulation(SP)分画細胞が確認された。平成23年度は、得られたSP分画細胞の三次元再構成培養を行った。すなわち、線維芽細胞1×105cells/wellを加えてコラーゲンゲル内培養を行い、37℃ CO_2下で20分間インキュベートし、ゲル表面にFACS解析で得られたSP分画細胞を播種し、24時間後にナイロンシート上に移して気相培養を行った。1、2、3週後に10%中性ホルマリンに浸漬固定後、厚さ6μmの連続パラフィン切片を作製した。Immunosaver(日新EM社)で抗原賦活処理後、免疫染色を施し光顕観察を行った。その結果、数層の細胞からなる上皮様構造が確認され、表層部では細胞は扁平化し、角化傾向が認められた。基底部から表層におよぶ上皮組織全体にPAN Cytokeratinの発現が認められた。Involcrinは、1週例で細胞質内に点状に散在もしくは局在して発現し、経時的に細胞質内全体に広く発現が認められるようになった。Cytokeratin19は弱い発現がみられたが、integrinα6とintegrinβ4の特徴的な明らかな発現は確認できなかった。 歯根膜組織から得られた上皮様細胞のFACS分析の結果、幹細胞活性を持つとされるSP分画細胞が確認されたことから、歯根膜組織中に上皮幹細胞が存在することが確認され、さらにその細胞を特異的に分離できることが示された。SP分画細胞は三次元培養により、それ自体で角化層を伴う上皮様構造を形成し、cytokeratinやInvolcrlnが角化に関与することが示唆された。今後Integrinの発現やその他の免疫染色についても詳細に検討する必要があるが、上皮幹細胞や上皮幹細胞を用いた三次元再構成培養によって、上皮組織に関する基礎的、実験的研究の確立が示された。さらに、上皮幹細胞の歯根嚢胞上皮への関与や再生医療に関する基礎的研究への有効性に期待が持てる。
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