研究課題/領域番号 |
21592439
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
阿南 壽 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80158732)
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研究分担者 |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
榮田 太郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (60425246)
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キーワード | bFGF / 生体活性ガラス / 創傷治癒 / 修復象牙質 / 骨形成 / TGF-β1 / BMP |
研究概要 |
basic fibroblast growth factor(bFGF)は、医科領域において難治性潰瘍の治療薬として臨床応用されており、歯科領域でも歯周組織再生治療薬としての応用が期待されている。しかしながら、bFGFの歯周組織再生メカニズムにはいまだ不明な点が多く残されており、それらの歯髄組織に対する効果についてはほとんど明らかにされていない。また、生体活性ガラス(BAG)を骨代用材料としてスペースメーキングの目的で、根尖周囲の骨欠損部に応用し、骨形成への影響を解析した報告は少ない。そこで、ラット実験モデルを用いて、bFGFの歯髄創面に及ぼす影響について免疫組織化学的および組織定量的に検索した。また、根尖周囲の骨欠損部のスペースメーキングに生体活性ガラス(BAG)とbFGFを応用した歯周組織誘導再生療法の有用性について検討した。その結果、歯髄創面へのbFGFの応用により、早期にTGF-β1およびBMP、PCNA、FGFrの発現は亢進し、有意に多くの修復象牙質の形成が認められた。bFGFを貼付することにより、歯髄創面の微小環境は整備され、硬組織形成が誘導され治癒が促進された可能性が推察された。また、歯髄創傷部におけるbFGFの象牙質再生剤としての有用性が示唆された。bFGF群と水酸化カルシウム製剤であるビタペックス群間における歯髄創傷治癒過程において、サイトカインおよび増殖因子の発現の時期および程度が異なる可能性が示唆された。一方、BAGとbFGFを併用することにより、骨欠損部では速やかな新生骨の形成と活発な骨形成能を有する胞体の大きな骨芽細胞が多数観察されたことより、BAGは高い骨伝導能を有する優れた生体材料であることが推察された。
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