研究課題/領域番号 |
21592440
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
高山 芳幸 北海道大学, 病院, 講師 (30236369)
|
研究分担者 |
齋藤 正恭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (00133752)
水野 健太郎 北海道大学, 病院, 医員 (50374541)
後藤 まりえ 北海道大学, 病院, 助教 (40374540)
|
キーワード | 全部床義歯 / 無歯顎 / 人工歯排列 / 義歯の咬合 / 有限要素法 / 最適形状決定法 |
研究概要 |
今年度は、昨年度作成した無歯顎顎堤粘膜と全部床義歯からなる有限要素モデルを用いて、準解剖学的人工歯を用いた排列の最適化を試みた。人工歯排列の終了した蝋義歯を非接触レーザースキャナを用いて3次元計測し、その表面形状データを基に義歯と顎堤粘膜からなる有限要素モデルを作成した。人工歯と義歯床を個別に要素分割した後、両者を剛体リンクにより結合し、人工歯部分を容易に移動できるようにした。咬合面を標準的な位置から前後的に±10°の範囲で傾斜させ、荷重時の義歯の移動量が最小となるような傾斜角を最適化計算により求めた。義歯と顎堤粘膜の間は接触解析を行い、粘膜面は顎堤粘膜の非線形的物性を考慮した。荷重条件は、食物咀嚼時に受ける力を想定し、人工歯咬合面への面荷重(要素の各面に対して垂直方向の荷重)を用いた。荷重は各々の人工歯について個別に行い、それぞれ最適化計算を行った。モデルの作成と変更にはMSC.Marc2008、最終の応力計算にはMSC.Marc2008(日本MSC)を用いた。また、以上のソフトウェアを用いながら最適化計算を行うためOPTIMUS9(サイバネットシステム)を用いた。荷重時の義歯の移動量を最小とするような傾斜角は、荷重位置、顎堤形態により異なったが、荷重点、すなわち各々の人工歯直下の顎堤の傾斜と近似した値となる傾向がみられた。従って、咬合平面の設定には従来の解剖学的あるいは審美的基準の他、顎堤形態も考慮する必要のあることが示された。なお、今年度は最適化計算を行うためのシステム構築等に時間を要したため、予定していた上下顎義歯での解析は23年度に行う予定である。
|