研究概要 |
顎関節症の発症因子の一つとして歯ぎしりやくいしばりなどの口腔習癖であるブラキシズムが注目され,その因果関係について多くの研究がなされてきた.しかし,その関係は十分には解明されていない. 本研究の目的は,顎関節症とブラキシズムの関連性を解明するための一助として,超小型のウェアラブル筋電図測定システムを用いて顎関節症患者の終日咀嚼筋活動解析を行い,顎関節症患者の覚醒時ブラキシズムの実態を明らかにすることである. 平成21年度は,主にウェアラブル筋電図測定システムの構築を行った. 新型システムでは,頬部に装着する電極部分を電極-増幅アンプ一体型構造にしたのに加え,メモリーも一体型のデータロガータイプの記録方式とすることにより,テレメトリータイプの記録方式の弱点である通信エラーをなくすことを試みた.電極は双極測定電極と1つの不関電極を平行に配列し,導電性粘着ゲルパッドを用いて皮膚に粘着させる構造とした.筋電図波形の同定を行うためイベントマークユニットを設定した.イベントマークユニットは測定部分とは完全に独立し,被験者の状況に合わせた種々のパターンで持ち運びできる形態とした.食事等の各種イベントの開始,終了時間を識別するためのイベントマーク機能とボイスレコーダー機能を付与し,被験者のスイッチのオン,オフのチェック漏れが起こらないようLEDランプ表示機能,スライドスイッチ機能を設定した. 夜間部分の測定のための睡眠覚醒の判別のためのモニター装置としては,小型腕時計型睡眠センサー,アクティグラフと東芝体動計の時間特性を検証し,筋電図との時間差に対する補正式を算出した. 平成22年度以降は,本システムを用いてデータの蓄積と解析を行ってゆく.
|