研究概要 |
本研究の目的は、義歯装着時に生じる口腔感覚を始めとする変化を客観的かつ詳細に検知することによって口腔機能を評価することである 本年度は,初年度に引き続き,中高年齢層の健常有歯顎者(男10名、女性10名 平均68.1±3.8歳)を対象に,脳活動データとして、口腔内に実験用口蓋床装着時と非装着時において,味覚.触覚および温度感覚刺激時の脳波計測を行った.さらに,義歯の満足度と口腔感覚の満足度が関連しているとの報告から,義歯の安定に大きな影響を与える口唇閉鎖力について,若年層の健常有歯顎者(男10名、女性10名平均28.3±2.6歳)を対象に,口唇閉鎖力について分析を行った まず、脳波計側の結果は、実験用口蓋床を装着すると、いずれの感覚刺激の際にもα波含有率は低くなり、さらに実験用口蓋床の厚みが薄くなると,α波含有率は高くなって非装着時に近づいた.義歯床の厚みを薄くすると口腔感覚を感知しやすい状態になっていることが客観的に示された平成22年度日本補綴歯科学会関西支部学術大会にて発表)。これは、これまで報告してきた各感覚の官能検査の結果とも一致している。次に、口唇閉鎖力は,正常有歯顎者では,上口唇および下口唇の力のバランスが保たれており,左右差も認めらなかった(平成22年度日本補綴歯科学会関西支部学術大会にて発表).この結果をコントロールとして,次年度は義歯装着者について行う予定である.さらに,味覚刺激時における心理的な味の対比効果についての分析についても行う予定である
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