研究概要 |
平成21年度は,表面プラズモン共鳴法(SPR)用チタンバイオセンサーに関するデータを集積し,生体分子のチタン表面に対する結合・解離特性の解析においてセンサーの有用性を明らかにした。また,合成RGDS(PO_3H_2)PAペプチドのチタン表面への化学結合状態についてESCAにて分析した結果,チタン表面に結合したRGDS(PO_3H_2)PAペプチドは,改質表面を超音波洗浄する過程で,RGDとS(PO_3H_2)PAとの間で分子間の結合が失われ,S(PO_3H_2)PAのみがチタン表面に結合していることが確認された。このことは,接着性タンパク質をチタン表面に結合させたとしても,チタン表面を動的洗浄した場合,分子間結合が失われ,接着性タンパク質本来の特徴を生かすことが難しいことを示唆した。さらに,Hydroxylapatite(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2)のナノ表面をTricalcium phosphate(beta-Ca_3(PO_4)_2)のCaとPの構成比へ改質する方法を検証しており,平成22年度には,オッセオインテグレーションの成立における生体分子の役割を解明し,チタンインプラントの高次生体機能性ナノ表面改質の新たな方法に示唆を与える予定である。
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