研究概要 |
平成22年度は,チタン表面をHydroxylapatite(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2)にて表面改質することを想定し,Hydroxylapatiteのナノ表層をTricalcium phosphate (beta-Ca_3(PO_4)_2)様の構造に改質する方法を確立することを目指した。Tricalcium phosphate様構造の決定には,パラメータとしてCa/P比を用いた。Hydroxylapatiteの表面を10~60%のリン酸溶液で処理した後,ESCAにて分析した結果,HydroxylapatiteのTricalcium phosphate様表面改質には,30%リン酸溶液で10分間処理する方法が適切であることが明らかとなった。次に,Hydroxylapatite未処理群と30%リン酸処理群において,骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞の接着・増殖および分化の指標であるALP活性について検討した結果,30%リン酸処理群が接着・増殖の向上に有意に影響していたが,ALP活性では有意な差は認められなかった。平成23年度には,オッセオインテグレーションの早期確立におけるHydroxylapatiteのTricalcium phosphate様表面改質の有用性をさらに解明し,チタンインプラントの高次生体機能性ナノ表面改質の新たな方法に示唆を与える予定である。
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