研究概要 |
平成22年度において,チタン表面をHydroxylapatite(Ca_<10>(PO_4)_6(OH)_2)にて表面改質することを想定し,Hydroxylapatiteのナノ表層をTricalcium phosphate(beta-Ca_3(PO_4)_2)様の構造に改質する方法を確立し,骨芽細胞様細胞MC3T3-E1細胞の接着・増殖および分化の指標であるALP活性について検討した結果,未処理群と比較して30%リン酸処理群が接着・増殖の向上に有意に影響していたものの,ALP活性では有意な差が認められなかった。このことから,平成23年度は,本表面改質の有用性をさらに解明する目的で以下の通り実施した。 Hydroxylapatite未処理群と30%リン酸処理群の各試料におけるMC3T3-E1細胞の分化について詳細に検討するため,定量RT-PCR法にてALP,Collagen I,Osteocalcin,Osteopontinなどの4種類のprimerを用い,コンフルエントに達した日を0日とし,以後4,7,14日目のmRNAの発現量を解析した。その結果,未処理群および30%リン酸処理群の両群において,MC3T3-E1細胞の分化・石灰化の開始が確認され,4日目ではOsteopontinのmRNA発現量が未処理群に比較して30%リン酸処理群で有意に増加し,石灰化が促進されることが明らかとなった。ゆえに,これらの結果と平成21・22年度の結果を併せて,組織適合型チタンインプラントの開発を目指した高次生体機能性ナノ表面改質の有用性が示唆できた。
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