研究概要 |
まず,歯冠修復用ハイブリッドレジンによる複合型補綴物の臨床応用に必要な複合強度を検討するため,比較として前装用レジンと金銀パラジウム合金との接着強さを測定した.表面処理はジルコニアに応用可能な処理も含むが,熱耐久試験後の結果は一番強いもので15.4MPaであった.このことから,フレーム表面にリテンションビーズなどの機械的な維持を付与できないジルコニアでは最低でもこの数値以上が必要であることが明らかとなった. 次に,現在ジルコニアと合着用セメントで有効なことが報告されている2つのプライマーとロカテックシステムを使用し,歯冠修復用ハイブリッドレジンとジルコニアの複合強度について検討した.熱耐久試験後の結果は,未処理0.5MPaに対し,処理を施したものは13.3~20.9MPaであった.ジルコニアが金属より熱伝導率が低く,口腔内の熱変化に対して有利なことを考慮しても,さらなる複合強度の向上が必要と考えられる. このため,機械的勘合力の影響と表面結晶状態の影響について現在実験を進めている.調査の結果,経済的にも臨床応用可能な機械的勘合力はアルミナによるサンドブラストが有力であると考えられたため,噴射圧を5条件,粒径4種類について最適な条件を検討中である.また,表面結晶状態の影響についてはX線回折装置によりピーク強度を測定し,単斜晶の含有率を算出したところ,サンドブラスト処理とその後に陶材焼付で行われる熱処理を施したものでは明らかに単斜晶の含有率が異なることが明らかになった,さらにそれらの条件で予備実験を行い,複合強度にも影響があることが確認された.この結果を踏まえ,現在Bis-GMMA系とUDMA系の2種類の歯冠用ハイブリッドレジンによる複合強度への影響について検討中である.
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