研究概要 |
1. 研究の目的:歯科用金属によるアレルギーが原因と考えられる難治性皮膚疾患において,汗から排泄される金属元素を検出することにより,発症機序の解明,新たな検査方法の確立を目指すものである. 2. 研究の成果 (1) 長崎大学医歯薬学総合研究科倫理委員会に本研究の承認申請し,承認された. (2) 手掌より排泄されるの採取方法の検討. 説明文書にて被験者に本研究の内容を説明し,同意が得らた場合は,同意書に署名,按印を求めた.問診票を作成し,皮膚疾患の有無,金属アレルギーの有無,アクセサリーの有無と種類,ピアスの有無と種類,口腔内金属修復物の有無と種類,年齢,性別を記録.超純水1lをホットスターラーにて42℃に加熱,保温し,片手を10分間浸し,汗を採取した.健常被験者10名(男性5名,女性5名)より,汗を採取した. (3)金属元素の種類の特定とその濃度の測定. 採取した汗は,誘導結合プラズマ発光分析装置にて,定性分析した.分析線は1つの元素に付き3種類測定し,2種類以上の分析線のピークが検出されたもめを**とし,1種類のみ分析線のピークが検出されたものを*とした. 結果,Mgはすべての被験者から**として検出され、このMgの有無が汗が採取できているかの指標となるものと考えられる.Znは**が3名,*が7名,Ptは**が1名,*が9名,Auは*が8名,Alは*が7名,Cuは*が6名,HgとMoは*が5名,.MnとSnは*が3名,Cr,Sb,In,Cdは*が2名,NiとTiは*が1名より検出された.ただし,これらの分析線の波形を観察すると,MgとZnの波形は明瞭なピークを示しているが,その他の元素はバックグラウンドとピークの差が明確ではなく,定量分析にて元素の存在とその濃度を検索する必要があると考えられる.
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