研究課題
平成24年度研究課題では、インプラント周囲上皮と接する純チタンインプラント体表面への陽極酸化・水熱処理法(SA処理)の効果を検討することを目的として、マウス由来歯肉上皮細胞(GE1)を各試料上に播種して24 - 72時間培養後、①SEMを用いた細胞接着形態の観察、②分光光度計を用いた細胞増殖率、③Real-time PCR法を用いたlaminin-5(α3、β3、γ2)とintegrin-α6β4遺伝子発現について分析した。①SEM観察では、培養72時間のSA処理チタン表面上における細胞は、他の純チタン、陽極酸化処理チタンに比較して陽極酸化被膜上に密着しており、培養24時間に比較してより伸展していた。②細胞増殖率では、SA処理チタンにおいては培養日数の増加にともない、他の純チタン、陽極酸化処理チタンに比較して増殖率が有意に高値を示した。③Real-time PCR法によるlaminin-5(α3、β3、γ2)とintegrin-α6β4の遺伝子発現では、培養72時間のSA処理チタンにおいて、他の純チタン、陽極酸化処理チタンに比較して有意に高値を示した。平成24年度の研究結果から、陽極酸化・水熱処理チタンでは、純チタンと陽極酸化処理チタンに比較して歯肉上皮細胞の伸展が促進され、さらに細胞増殖率が有意に高まることが示唆された。これは、陽極酸化処理チタンに水熱処理を施すことで陽極酸化被膜がナノ構造となっていること、また高い表面自由エネルギーと親水性を有する表面性状であることが歯肉上皮細胞の接着に関わるlaminin-5とその受容体であるintegrin-α6β4の発現に関与したものと考えられた。本研究から、陽極酸化・水熱処理チタン表面上における歯肉上皮細胞の初期接着機構の一端が確認され、陽極酸化・水熱処理チタンは歯肉上皮細胞の接着に有利であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Prosthodontic Research
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