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2010 年度 実績報告書

口腔は認知機能の障害過程に介入できるか-その脳神経病理学的根拠を求めて-

研究課題

研究課題/領域番号 21592473
研究機関日本大学

研究代表者

成田 紀之  日本大学, 松戸歯学部, 准教授 (10155997)

キーワード局部床義歯 / 前頭前野 / 咀嚼 / 咀嚼筋活動 / 咬合接触 / 摂食食品スコア / f-NIRS / 認知機能テスト
研究概要

本年は,義歯の装着による前頭皮質の機能について,さらに検討を加えた.これは,今後,口腔機能にかかわる欠損補綴患者の自覚と前頭皮質活動の関連を検討するうえで必要となる基礎的解明と位置付けている.
[目的]歯の部分欠損症例における義歯装着による1)前頭皮質活性と,2)咀嚼筋活動,3)咬合接触,4)摂取食品スコアなどとの関連を検討し,認知機能との関連に関する基礎データと考えた.
部分欠損症例16名を被験対象とし,脳機能計測にはf-NIRSを用い,前頭前野にプローブを装着した.義歯装着による咬合の評価にはデンタルプレスケールを用い,さらに咀嚼に評価には咀嚼スコアを応用した.さらに,咀嚼課題は,チューイングガム1枚を,安静40秒間を挟んだ,10秒間咀嚼を5回繰り返しとした.脳血流データの解析は,Hbマップならびにトポグラフィーを表記して行なった.
[結果]義歯装着によって,右半側優位に前頭皮質の有意な活性が両側性に生じたが,同時に有意に向上した咀嚼スコアとの関連では,左側前頭前野の活動性と咀嚼スコアに有意な相関が示された.義歯装着と非装着による,咀嚼スコア,咬合接触面積,咬合力と前頭前野の皮質活動性の関連に関する正準相関においては,義歯装着によって生じる右前頭皮質の血流量の増加が咬合接触面積の増加と関連する傾向を示した.
[考察]左側前頭前野については意味認知とのかかわりが報告されていることから,左側前頭前野の活動性は義歯装着によって想定され,食品に対する'噛めるか,噛めないか'といった意識とかかわると推察した. 一方,右側前頭前野の活動性が咬合接触面積と相関傾向を示したことは,義歯装着と咬合感覚や食塊弁別とかかわりが推察される.
[結論]前頭皮質機能は有意に咀嚼に関連する自己評価を反映することから,次年度にかけて行なわれる咀嚼時の前頭皮質血流とデンタルQOLや認知機能などとの検討が可能と考えている.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2011 2010

すべて 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [学会発表] ヒト顎口腔機能のシステム評価-その基礎と臨床2010

    • 著者名/発表者名
      成田紀之
    • 学会等名
      医学・工学における逆問題とその周辺(2)研究会
    • 発表場所
      東京(統計数理研究所)(特別講演)
    • 年月日
      2010-11-26
  • [学会発表] 欠損補綴治療による咀嚼の改善と前頭前野の活動性2010

    • 著者名/発表者名
      神谷和伸, 他
    • 学会等名
      第52回歯科基礎医学会学術大会
    • 発表場所
      東京(タワーホール船堀)
    • 年月日
      2010-09-21
  • [学会発表] Effects of Partial Denture Wearing on Dorsolateral Prefrontal Cortex Activation2010

    • 著者名/発表者名
      Narita N
    • 学会等名
      88th IADR General Session
    • 発表場所
      Spain(Barcelona)
    • 年月日
      2010-07-16
  • [学会発表] 局部床義歯装着による前頭前野の活動性の向上-若年健常者との比較検討から-2010

    • 著者名/発表者名
      成田紀之
    • 学会等名
      日本補綴歯科学会第114回学術大会
    • 発表場所
      東京(東京ビッグサイト)
    • 年月日
      2010-06-13
  • [図書] 統計数理研究所共同研究リポート258 医学・工学における逆問題とその周辺(2)歯科医学における顎口腔機能のシステム神経科学/神経歯科学の意義2011

    • 著者名/発表者名
      成田紀之
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      統計数理研究所

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公開日: 2012-07-19  

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