研究概要 |
重合したコンポジットレジンは大変接着性に乏しく、レジン材料との高い接着強さを得るのは難しい。一方、支台築造体、根面版、根面アタッチメント等をFRCとコンポジットレジンで作製する場合には、FRCをあらかじめ硬化させておき、その後未重合のコンポジットレジンを盛って重合・硬化させるという逆のステップとなる。この場合、異なる接着挙動を示すことが予想される。そこで本研究の目的は、重合の完了したFRCに未重合のコンポジットレジンを盛り、これを硬化させて両者を強固に一体化させる方法を見出すことである。 UDMAとTEGDMAを重量比で等量混和した。これにカンファーキノンとDEAMを1:2の割合で混和し、0.7%のモノマーリキッドを添加した。これを光重合器で重合してマトリックスレジン硬化体を得た。重合の完了したFRCのマトリックスレジン表面に種々の表面処理を施した後コンポジットレジンペーストを盛り、光重合器で重合してFRCのマトリックスレジン-コンポジットレジン複合体を完成し、両者の接着強さを検討した。その結果、無処理の104.3±45.7Nに対しマトリックスレジンリキッドを一層塗布後予備重合を6秒行ったものは421.1±53.1Nであった。しかしながら、5℃と55℃の水中熱サイクルを10,000回付与した後には268.2±87.5Nに低下した。このように未重合のコンポジットレジンに対してはマトリックスレジンを一層塗布して予備重合するのが効果的であったが、耐久性はいまだ十分でなかった。 このことから実際の装置作製にあたってはガラス線維をコンポジットレジンとの接合面に露出させ、これが機械的に絡まるような構造上の工夫とガラス線維に対する接着強さの向上が必要になるものと思われた。
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