研究概要 |
窒化アルミニウム(ALN),窒化ホウ素(BN)および黒鉛(C)のセラミックス板状成形体(市販品)各2枚を板状ワックスパターン両面にそれぞれ貼り付け,スプルーを付着した.Controlとしてセラミックス成形体を貼りつけないワックスパターンも用意した.これら4種類のパターンを円錐台に植立し,市販のチタン用リン酸塩系鋳型材で二次埋没した.鋳型は800℃まで加熱後,600℃に冷却して,一室加圧型チタン用鋳造機を使用して商用ベースの純チタンを鋳造した. Controlは表面が黒色の厚い反応層で覆われていた.ALNの成形体を貼りつけた試料は,金色と金属光沢のある,濃い紫の酸化膜で覆われていた.BNの成形体を貼りつけた場合は,ALNの場合と似ており,金色と一部金属光沢のある,淡い紫の酸化膜で覆われていた.Cの成形体を貼りつけた試料は,金属光沢のある,濃い青もしくは紫の酸化膜で覆われていた.また,ControlとCの場合は鋳込み不足を生じなかったが,ALNとBNの場合は熱伝導性が非常に良く,鋳込み不足を生じた.以上から,純チタン溶湯と反応しにくい材料として有望なのは,ALNとBNであり,歯科用鋳型材に重要な熱膨張係数などから考えて,新規の鋳型材の開発においてはBNのほうが若干有利と考えられる.また,次年度のための予備的実験から,鋳型材の練和時,練和器具に付着した水滴の混水比におよぼす影響が無視できない場合があること,人体に有害な粒径の粉塵はいったん放出されると長時間浮遊することが明らかになった.
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