研究概要 |
昨年度の研究で使用した窒化ホウ素(BN)粉末は,粒径が小さすぎたために,硬質石膏を結合材として混合して水で練和しても硬化しなかったと考えられたことから,今年度は,昨年度より粒径の大きなBN粉末を骨材として使用し,昨年同様,硬質石膏を結合材として加え,鋳型材を調合した.石膏は5,15,25,35,45重量%と変化させ,それぞれ,混水比を0.2~0.4まで変化させて練和した. 練和の操作性については,昨年度の結果よりは改善したように見うけられたものの,混水比が小さい場合は若干湿った粉末の状態になるだけで,練和は不可能であり,これは水が少なすぎるためと考えられた.混水比を大きくした場合は,練和しても粉末と水が分離した状態が見られ,通常の泥状にすることは不可能であった.これらの練和物に対して,ビカー針による硬化時間の測定を行ったが,いずれも硬化状態となることはなかった.以上の理由としては,BN粉末の粒径を昨年度よりも大きくしたものの,まだ細かすぎて比表面積が大きかったために,硬質石膏が結合材として十分に機能を果たせなかったことが大きな要因と考えられた. また,BN粉末の撥水性が操作性を低下させていると思われたことから,界面活性剤の添加の効果を調べた結果,界面活性剤の添加は操作性を向上させることが示唆された. さらに,鋳型材の練和操作に関する研究の一環として,鋳型材の粉じんの呼吸器への影響について知見を得るため,歯科診療室内および技工室内における粉じんの挙動について調べたところ,いったん舞い上がった鋳型材粉じんは気流に乗って浮遊し続け,床に落下することはないと考えられた.
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