研究概要 |
本研究では放射線照射を受けたインプラント支持組織への力学的負荷の影響を検討することを目的として、我々が構築した骨芽細胞様細胞に直接持続的圧縮力を加える実験系を用いて、以下の実験を行った。 実験条件の設定として、MC3T3-E1細胞に0~20Gyの条件で放射線を照射、その後の細胞増殖を計測したが生育能への影響には放射線量の差が認められなかった。骨芽細胞様細胞の活性に関して同条件下で放射線を照射後24時間経過後のALPやOC, OP, ONの活性をPCRで測定したところ、OC, ALPでは照射量に関連する発現傾向にあったが統計的な有意な差は認められなかった。 放射線照射の影響が表れてくる時間経過を因子として検討するために、MC3T3-E1細胞に5Gyの照射条件で24時間経過後から6週間経過後までの細胞活性を測定している。そして、放射線照射後の細胞活性を測定した同条件下でMC3T3-E1細胞に0~294Paの荷重を加え、負荷前・後の細胞から抽出したRNAを用いて、マイクロアレイ法にてDNA修復、細胞周期、アポトーシスなどに関与する遺伝子発現状態を測定と付与するメカニカルストレスの量を測定している。 今後、求めた最適放射線を照射した細胞群と照射していないコントロール群に、設定したメカニカルストレスを負荷して、マイクロアレイ法により発現誘導される遺伝子を検討し、発現誘導された遺伝子がどのような役割を果たしているのか、またどのようなシグナル伝達系で誘導されるのかを検討していく。さらに、以前の研究でメカニカルストレスを加えた際に誘導されたHSP25 (heat shock protein 25)が放射線照射した細胞に対しても発現が誘導されるかどうかも合わせて検討していく予定である。
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