研究課題
本計画はiPS細胞(induced pluripotent stem cells)から上皮・間葉の各細胞への分化誘導を検討し、それらの細胞とマウス歯胚由来細胞とを組み合わせることにより歯胚の組織細胞をiPS由来細胞から作り出すことを目標としている。今年度得られた研究成果1. iPS細胞から神経堤葉細胞への分化誘導法の確立ヒトES細胞の研究を参考にして、マウスips細胞から歯原性間葉細胞の前駆細胞である神経堤細胞へ分化させる誘導法を開発した。この細胞は、免疫染色、リアルタイムRT-PCR,フローサイトメーターにてほとんどの細胞が神経堤細胞マーカー陽性であることが示された。また、ヌードマウスに対する移植実験にて腫瘍形成能が認められなかったことより、臨床応用への安全性が示唆された。2. iPS細胞由来神経堤様細胞の象牙芽細胞への分化能1で誘導された神経堤様細胞をマウス歯胚上皮細胞と共培養することにより、この細胞が象牙芽細胞マーカーDSPを発現することが分かった。また、この遺伝子発現は、マウス歯胚上皮細胞株HAT-7のコンディションドメディウムでの培養において有意に増加することがわかった。この結果より、iPS細胞由来神経堤様細胞が象牙芽細胞に分化する能力をもち、歯の再生に有用な細胞ソースとなる得ることが示された。この結果は現在論文にまとめ、投稿準備中である。3. iPS細胞由来神経堤様細胞と歯胚細胞との組み合わせによる移植実験iPS細胞由来神経堤様細胞と歯胚上皮細胞を組み合わせ、免疫不全マウス腎皮膜下に移植する実験をフランスの研究チームとの共同研究にて進めている。現在までに実験の手法の確立が終わっており、今後実験の更なる解析を進め、iPS細胞由来神経堤様細胞が実際に歯胚を形成するかどうかを詳細に検討する予定である。
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Biochem.Biophys.Res.Commun.
巻: 404 ページ: 308-312
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巻: (e-pub)