研究概要 |
間葉系幹細胞については、骨髄からFCMを用いて分離してきたMSCsは単一細胞から脂肪・軟骨・骨への分化能を有していることを確認している。またNCCs由来のMSCsは神経堤細胞の分化系譜である末梢神経・グリア細胞・平滑筋に分化することも確認している。MSCsについてbasic mediumおよびTGF,PDGFなどのリコンビナント成長因子を組み合わせ、MSCs無血清培養法を確立し、血清添加法と比較しても増殖能、分化能において全く劣らない良好な結果を得ている。 光硬化性ゼラチンの改良については、基材となるゼラチン分子量を小さくすることにより、室温においても操作可能な光硬化性溶液を作製し、またゼラチン濃度を上げることによって強度の幅も広がり柔軟なゲルから、強固なゲルまで作製することが、可能となった。 また、改良されたゼラチンをラット皮下組織に埋入し、血管新生、吸収速度について観察を行った。また、ゼラチンスポンジも作製し、欠損量が大きい場合などを想定し、同様に検討したところ約4週間で光硬化性ゼラチンに細胞が侵入し、血管新生が認められた。改良された光硬化性ゼラチンは高濃度水溶液を短時間で調整可能であり、短時間での光照での強度向上、炎症性低下がめられた。 現在、組織再生療法の足場材料としての最適な材料を選択し、動物実験を行っている。ビーグル犬に人工的な歯周組織欠損として、水平性、垂直性骨吸収を作製し、光硬化性材料を欠損部の形態に合わせて填入し、歯槽骨再生と同時に歯根セメント質および歯根膜組繊の再生を1・2・4・8週にて実験中である。
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