研究課題
骨粗鬆症や癌の骨転移に使用される薬であるビスホスホネート(BP)に関連した顎骨壊死や骨髄炎の発症が近年問題となっている。その発症機構には骨代謝回転や血管新生の抑制が関与するとの報告があるが、その詳細は十分に解明されていない。我々はビスホスホネートが硬組織に高濃度に沈着することや顎骨が常在菌などの微生物が多数存在する口腔に近接していることに着目して、BPが骨局所の免疫機構に何らかの影響を及ぼしていると推測して、BPの免疫細胞への作用について明らかにすることを目的として本研究を行った。マクロファージ様Raw264.7細胞にクロドロネート、エチドロネート、TRK-530、アレンドロネート、インカドロネート、リセドロネートを作用させて細胞増殖能に対する影響を検討した。その結果、アレンドロネートとリセドロネートで濃度依存的に細胞増殖が抑制される傾向が認められたが、他のBPではほとんど変化は認められなかった。マクロファージではクロドロネート、リセドロネート、ゾロドロネートを作用させるとリセドロネートとゾロドロネートでRac-GTP形成の増加が認められ、クロドロネートではほとんど変化がないことが報告されている。窒素を含有する骨吸収抑制能が高いBPがマクロファージ様細胞の増殖を抑制し、また、Racなどの低分子Gタンパク質は細胞骨格と関連しており、マクロファージなどの貪食作用に関与していることが知られている。今後、BPのマクロファージの貪食作用などの機能に対する作用に関して研究を進めていく予定である。
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