研究課題
本年度はエチドロネート(第一世代)、アレンドロネート(第二世代)、リセドロネートならびにゾレドロネート(第三世代)および窒素非含有ビスホスホネートであるTRK-530を用いてマクロファージ様Raw細胞に対する細胞毒性と酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(Trap)陽性細胞の形成に対する影響について評価した。その結果、10μMアレンドロネート、リセドロネートおよびゾレドロネートでは対照群と比較して生細胞数が1/2以下になるのに対してエチドロネートならびにTRK-530では生細胞数の有意な減少は認められなかった。また、Raw細胞にRANKLとともに10μMの各種ビスホスホネートを作用させるとTrap陽性細胞総数ならびに8核以上の巨大破骨細胞数はすべての薬物で有意に減少したが、その作用はTRK-530が最も強力であった。本研究により顎骨壊死発症が報告されているアレンドロネート、リセドロネートおよびゾレドロネートはマクロファージなどの免疫細胞を抑制して易感染性を生じさせている可能性が示唆された。一方、TRK-530はマクロファージに対する細胞毒性も低く、さらにRANKLによる巨大破骨細胞の形成を強力な骨吸収活性を有するアレンドロネートならびにリセドロネートと同程度に抑制していることから、骨吸収性疾患のより安全かつ有効な治療薬として応用が可能であると推測される。今後はビスホスホネートによる免疫細胞機能に対する影響を精査するとともに、TRK-530の有用性についてさらに検討していく予定である。
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