研究課題/領域番号 |
21592511
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
出山 義昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80271667)
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研究分担者 |
戸塚 靖則 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 特任教授 (00109456)
安田 元昭 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (90239765)
飯塚 正 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (80168062)
吉村 善隆 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (30230816)
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キーワード | ビスホスフォネート / 顎骨壊死 / マクロファージ |
研究概要 |
本年度は窒素含有ビスホスホネートであるゾレドロネート、窒素非含有ビスホスホネートであるTRK-530を用いてRANKL存在下でマクロファージ様Raw細胞より分化した破骨細胞の骨吸収に対する影響、破骨細胞アポトーシスに対する影響、さらに破骨細胞形成・融合ならびにアポトーシスに関する遺伝子のmRNA発現に対する影響を調べた。その結果、いずれの薬物も10μMにおいて破骨細胞の骨吸収能をほぼ完全に抑制した。さらに、これらの薬物は破骨細胞形成のマスター遺伝子であるNFATc1、マーカー遺伝子であるTRAP、さらに破骨細胞の融合に関与するDC-STAMP mRNAの発現を抑制した。また、細胞のアポトーシスに関与するFas、Caspase3およびCaspase8 mRNAの発現も増加させた。さらに、両薬物ともにアポトーシスの際に認められるDNAの断片化が観察され、Caspase3/7活性の有意な増加が認められた。以上の結果から両薬物ともに破骨細胞の形成ならびに融合を抑制し、アポトーシスを誘導することが明らかになった。 前年度の結果も併せて勘案すると、破骨細胞前駆細胞であり、免疫機構を担当するマクロファージに対しても窒素含有ビスホスホネートが細胞毒性を示すのに対して、窒素非含有ビスホスホネートであるTRK-530は破骨細胞の形成・融合やその吸収活性抑制作用、アポトーシス誘導作用は前者とほとんど相違が認められないにもかかわらず、免疫機構に対しては影響を与えないことが示唆され、顎骨壊死などの有害な副作用を及ぼさない非常に有用な薬物であることが示唆された。
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