研究概要 |
Bone Morphogenic Protein(=BMP-2)は、骨を形成する骨芽細胞の増殖・分化を調整するTGFスーパーファミリーに属するタンパクである。この研究では、BMP-2と骨髄に含まれる多分化間葉系細胞を用いた顎顔面骨再生医療の新規開発を目的として、その基礎的研究を本年度に行った。実験計画に基づき、ラット頭蓋骨に人工的骨欠損を直径7mmで脳硬膜に達する深さで作成した。(Shirasu, Ueno, et.al.Acta Histochemica. 2009)この欠損部に大腿骨から骨髄を採取し移植を行った。移植後に7,14,21日後に組織を摘出し、組織学的観察を行い骨の形成過程を確認した。その結果、移植後7日目には、骨欠損部において細胞の活発な増殖が観察された。またそれらの細胞は骨形成マーカーRunx2を発現した。移植後21日目には骨欠損部の中心に骨新生が観察された。 一方、非移植群では、移植後7日目には、活発な細胞増殖は観察されず、21日目には骨欠損断端部にわずかな新生骨が観察されたのみであった。これらの結果は、1)ラット頭蓋骨モデルが骨形成能を評価するために適切なモデルであること、2)骨髄細胞が骨欠損部において活発な骨形成能を持つ再生組織であることを証明できた。また、平行してBMP-2を投与した骨欠損部における骨形成過程が予備的に観察され、次年度の研究のための準備がなされた。またこうした研究成果を国際学会European Academy of Osseointegrationモナコ2009年9月、Academy of Osseointegartionオーランド2010年3月4-8において発表した。
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